国民は大きな嘘を信用する

引用始まり

2017.2.23 (木)日本経済新聞・夕刊13面
ウッズ巡る報道 冷静さ欠くメディア
米ゴルフツアー ジム・マッケイブ

多くのゴルフ記者は、かれこれ2500年以上も語り継がれているイソップ童話になじみがないのだろうか。
世界中で読まれているこの童話の中に、「オオカミ少年」という話がある。有名なのであらすじは割愛するが、大人たちは教訓として「ウソばかりついていると、本当のときに誰も助けてくれないよ」と子供たちに教えてきた。

(省略)

引用終わり


この記事は間違ってはいない。しかし、裏がある。

一般に知られている「オオカミ少年」の話は、改変されている。イソップによるとされる原作(正確にはオリジナルにより近い状態)では、保護者不在の少年が心細く恐れるあまりにオオカミが来たと思ってしまった。いたずらでうそをついたのではない。

自らの利益になるように話を作り変えた何者かのほうが、『大きな嘘』をついている。『国民』の一部である子供たちも『小さな嘘』は見抜けても、『大きな嘘』は信じてしまったのだろう。子供たちの末裔も同じだ。

誰かの都合で作り変えられた話も、いったん広まると元に戻すのは難しい。フェイクニュースと同じだ。疑問を持つ人や指摘をする人のほうが、異常者にされてしまう。フェイクニュースに対抗する最善策は、再審の門戸を閉じないことである。しかし、多くの人は確定という快適さを優先してしまうようだ。

ところでマッケイブ氏はイソップの原作を知っているようだが、日本のマスコミ人はどうだろうか。知っている人もいるのだろうが、まれだと感じる。あるいは知っていても全く伝えないと感じる。限界もあるだろうが、せめて引用した記事のレベルには到達してほしい。